#32 福井の“そば文化”を守れ!|福井テレビ

番組情報

Fukuiクエスト 放送日
#32 福井の“そば文化”を守れ!
2025年12月13日(土)放送

福井県の名物「おろしそば」は、大根おろしと冷たい出汁で食べるご当地そばで、全国的にも高い評価を受けています。

 

福井のそば文化を未来へ残すために活動しているのが、「福井そばルネッサンス推進実行委員会」。代表の宝山栄一さんが今回のわがまちプレーヤーです。福井そばルネッサンス推進実行委員会は、30年以上にわたり、そばの博覧会や全国規模の素人そば打ち名人大会を開催するなど、福井のそば文化の継承・普及とブランド化に取り組んでいます。

 

 

 

福井の食を代表するおろしそばですが、宝山さんによると、おろしそばには明確な定義がなく、大根おろしの扱い方や麺の太さなど、地域や店ごとに大きな違いがあります。

大根おろしを添えるだけの店もあれば、出汁に混ぜたり、搾り汁だけを使ったりと多様で、食べ比べる楽しさがあるといいます。

 

 

実は、福井のそばは、そば自体も多様なのだとか。福井県各地で守られてきた「在来種」のソバです。県内では品種改良されていない在来種が今も栽培されており、地域ごとに受け継がれた種が22系統も存在します。在来種は成熟度が揃わないため、成熟した実と未熟な実が混ざった状態で収穫されますが、これが独特の香りや味わいを生み出す要因になっています。

 

 

 

丸岡町のそば農家・髙山重則さんは、35年前から丸岡在来の普及に尽力してきた一人です。丸岡在来は小粒で甘みが強く、福井ではそばの「甘皮」ごと挽くため、小粒の方が甘皮の割合が増え、より甘味が強くなるといいます。髙山さんは毎年、特においしいと分析されたサイズの実を種として残し、品質向上に努めています。

 

 

 

製粉の現場も調査しました。

福井市の斉藤製粉所は、21台の石臼を使ってそば粉を挽いています。石臼挽きは香りや粘りを引き出す効果があり、戦前から使われている石臼も現役です。これらの石臼の多くは福井市美山地区の「小和清水」の石で作られていて、福井県内の製粉所で使われている石臼のほとんどは、小和清水産の石臼なんだとか。

 

 

しかし、小和清水の石の採掘はすでに終了し、職人も10年以上前に引退してしまいました。しかし、斉藤さんによれば、職人が残した石臼のストックがあり、目立てというメンテナンスを施して大事に使えば、100150年は使い続けられるとのことです。

 

 

 

再び宝山さんを訪ねると、啓新高校にいるとのこと。宝山さんは、そば文化を若い世代に広めるため、12年前、啓新高校の校長先生に掛け合って「そば部」を創設してもらいました。宝山さんが指導する啓新高校そば部は、全国大会で三連覇するほどの強豪で、卒業生の中にはプロのそば職人になった人もいます。来年4月には、そば部からまた1人、そば店に就職します。

 

 

宝山さんの店「たからや」で働く今井百恵さんも、そば部からプロの道に進んだ一人です。短大卒業後に一般企業へ就職したものの、そばへの思いを捨てきれず、プロを目指して戻ってきました。「自分のそばで人を笑顔にしたい」という夢を胸に、日々そば打ちの修行に励んでいます。

 

 

 

最後に、宝山さんと今井さんにパワーボールに思いを込めてもらいました。

宝山さんは「蕎楽蕎生」(そばを楽しみ、そばに生かされている)という言葉に、そばを通じて人とつながり、福井のそば文化を盛り上げたいという願いを込めています。

一方、今井さんは「嵐にそばを食べてもらう!」という夢を掲げ、大好きなアイドルに自分のそばを届けたいと語りました。

福井のそば文化は、こうした人々の情熱によって守られ、未来へ受け継がれているのです。

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